『再会』


 君と再会したのは、夏の終わり。
 霧のような雨の降る朝だった。
 君の腕には白い物が巻かれていた。
 離れていた間、君に起こった出来事を、私はニュースで知っていた。
「久しぶり」
「うん、久しぶり」
「それ……」
 私は君の包帯を見る。
「ああ、うん。まだちょっとね」
「………」
 いつも待ち合わせに使っていた公園。
 木々も、池も、道さえも、たったひと月なのに違って見えた。
「大変――だったね」
「うん。そうかもね」
 私は息をのんだ。
「――ごめんね」
 どうして、すぐに会いに行かなかったんだろう?
 君に言葉をかけなかったんだろう?
 今も私は、君に甘えている。
 君を支えたいのに、どうすればいいのかわからない。
 嗚咽だけがこみ上げて言葉にならない。
 君が私の手を握る。
 私が君の手を握る。
 強く握る。
 強く握り返してくれる。
 君の暖かさが伝わる。
 私の冷たさも伝わるのだろうか。
「綺麗な、手」
 私は言う。
「いや……、汚ない手だよ」
 君は目を伏せてつぶやく。
「ううん、綺麗な手だよ」
 私はその手を両手で包む。
 頬を寄せて口づける。
 二度と離さないと誓う。


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