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:こわいゆめみた
:夢?
 すごい時間だよ。
 寝れないの?
:あたまいたい
 あたししぬのかな
:そんな簡単に死なないよ?
 どんな夢だったの?
:こわいゆめ
 しにそう
 しぬかも
:アイリ、体調悪い?
 だいじょぶ? しんどい?


「頭いたい」
「体調悪い?」
「さむい」
「熱あるの?」
「しらない」
「今日なんかあった?」
「なんもない」
「そんな感じじゃないじゃん」
「わかんないよ! やめてよ!」
「………」
「やだ……、助けてよお兄ちゃん」
「―――!」
「あ――」
「ア、アイリ!?」
「しらない! なんでもない!」
「アイリ……。
 泣いてるの?」
「………」
「なんか、思い出した?」
「マサ兄ちゃんの友だち……。
 よくわかんない」
「……友だち?」
「思い出したくない!
 マサ兄ちゃんは悪くない! あたしが悪かったんだよ!
 あたしが出て行けばよかった! あたしが出て行けばよかった!」
「――アイリ?」
「………」
「アイリは悪くないよ」
「あたまいたい……」
「アイリ?」
「………」
「この前カリンと会った後もヘンだったよね?」
「なんかあった?」
「知らない!
 なんでもいいよ! 援助もしてるよ!
 だから? いいじゃんチバには関係ないよ!
 あたしが全部悪いよ! 知らないよ!」
「アイリ、僕はアイリのこと大好きだよ。
 ずっと見ていたい」
「うるさい!」
「前に何があったのか知らないけど、そんなのいいよ」
「うるさいうるさい!」
「今のアイリが大事だよ。
 アイリはいい子だよ」
「わかんないよ! なんでそんなこと言うの?
 あたしはダメな子だよ! いい子なんかじゃない!
 どうしてやさしくするの!?」
「アイリのこと、好きだからだよ。
 心配なんだよ」
「うそだよ! 会ったこともないんだよ?
 やりたいだけでしょ? やらせてあげるよ!
 あたしはそういう子だよ!」
「アイリはイヤだったんだよね? 後悔してるんだよね?
 したくなかったって言ったじゃん?
 したとかしないとか関係ないよ。
 今アイリがどう思ってるか、その時アイリがどんな気持ちだったか。
 それ以外に大事なことなんてないよ。
 アイリはいい子だよ」