『付き合うとか付き合わないとか』


 窓から、常夜灯の光が差し込む。
 狭い布団部屋。
 動かない空気に肌が汗ばむ。
 リサとユッコは、テレビの話をしている。
 僕はコウと学校の話で笑い合う。
「好きな子できたか?」
「いないよ」
 僕は即答する。
「えー、そうなの?」
 ユッコが、いきなり割り込んできた。
「じゃあ、付き合ってる子いないの?」
「あ、当たり前だろ」
 今年、小学校を卒業したばかり。
 半年ぶりの同窓会。
 消灯時間を過ぎてから、二人に誘われこんな所にいる。
 二年同じクラスだったけど、リサともユッコとも話なんてした事がなかった。
 僕だけ遠くの中学に進み、コウと会うのも半年ぶり。
「付き合ったりしないの?」
「付き合ってるヤツとかいないから」
「えー、ウソだー」
 ユッコがコウをチラチラと見る。
 そういう事か。
 ため息をついた僕を、リサがいきなり下から覗き込む。
 スパッツの太腿が足先に触れる。
「あたしなら、付き合うんだけど」
 強気な言葉に僕は怯む。
 逆光でリサの表情は見えない。
「興味ないよ」
 僕は慌てて足を引っ込める。
 動揺を悟られないように顔を背ける。
 布団が、小さく揺れた。


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