人間というものがいなくなり、もちろん私なんぞもとうにいなくなった
あとでも、やはり八月の信州の山の中で、木の葉はあんな風に落ち始める
だろうか、とまた考えてみる。きっとそうだ、そうに決まっていると
思われて来る。そして「ああ、鹿も木の葉も人間も、みんな同じだなあ」
と心の中で呟いてみる。するとどこからか、「みんな同じだ」という声が
して、「やっぱりそうか」と納得する。
江藤淳「夜の紅茶」)



 引用の引用になってしまうのかな?
 この文章、
 初めて読みました。


 一日遅れで申し訳ないのですが、
 kagamiさんが
 「老い」に関して書いていらして
 その中の引用文です。


 読み返すと、
 なぜか嬉しくなる。
 そして
 泣きそうになる。
 なんだろう?


 何かを作りたいという欲求。
 それは
 何かを残したいという欲求で、
 私はいつか
 消えることが確定していて、
 でも
 作った物は残るんじゃないかと思っていて、
 たとえ残らなくても
 作ったってことは残るんじゃないかと思っていて、
 その先は私には見えないけど、
 きっと
 ずっと続いていくんだと思っている。


 夢を追っていこう。
 それで死んでもいいじゃない。
 最後まで叶わなかった、
 でも
 その夢をずっと追いかけていた、
 そんな人生でもいいじゃない。