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「会えたの!」
「ん? 会えた?」
「コウジくんが電車でね、話しかけてくれたの!」
「良かったじゃん。うまく話せた?」
「アイリのことなんて忘れてると思ってた。
 コウジくん、モテるんだよ」
「ん? ライバル多い?」
「わかんない。
 でも、クラスの子がコウジくんの話してた」
「そなんだ。カッコいいって?」
「その子、マネージャーしてるんだって。
 コウジくんはおもしろいよねって」
「でも電車で話したんだよね?
 どんな話したの?」
「え〜ないしょ」
「エロいこと?」
「チバとはちがいます。
 学祭のことだよ」
「仕事の話なの? 好きな人とかは?」
「いきなりそんな話しないよ!
 チバにもしたときないじゃん」
「今聞いてる気がするんだけど」
「コウジくんは楽しい人だよ?
 ちょっとカッコいいけど」
「チバはどんなひと?」
「アホな人」
「アイリ、きらい」
「アイリまちがってないよ?
 すごい正直に答えたんだけど」
「いいけど。学祭、いつだっけ?」
「来月〜! チバ、来るんだっけ?」
「コウジくんとアイリを邪魔しちゃ悪いじゃん?」
「そんなんじゃないよ」
「え〜?」
「てか、あたし学校ではいい子ちゃんだから、あんまうまく話せないよ。
 すごいおしとやかなんだよ?」
「アイリが! おしとやか!」
「チバはひどい人だよね」
「チバはいい人だよね」
「チバはアホな人です。
 来月、学祭くる?」
「わかんない。でも行こうかな」
「チバ、ナンパする?」
「しません」
「きっとするよ」
「そかな?」
「そだよ」
「じゃあ、一人だけするよ」
「一人だけ?」
「アイリって子をみつけるよ、きっと」